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不連続終活小説 Nさんのエンディング⑫

 ところで、普通の相続手続では亡くなった人の出生から死亡までの戸籍だとか、相続人全員の戸籍を提出しなければならないが、遺言書さえあればそのほとんどは不要となる。通常、生まれてから亡くなるまでの間にその人について4~5通の戸籍が編製されるが、戸籍を頻繁に移す人や婚姻離婚を繰り返す人の場合、10通にもなったりする。また、相続人がたくさんいて全国各地に散らばったりしていると、その役所ごとに戸籍の請求をしなければならないからその作業量は膨大だ。

「遺言書があれば、そういった手間もかなり省けるってことですね。それなら、遺言書を作ることにしましょう。手続をお願いできますか?私は何をすればいいのかな」

 Sさんはそう言って手帳を開いた。

 私は、「かしこまりました」と言って必要書類や手続の流れを説明した。

 一通り説明が終わると、Sさんはほっとした表情で口を開いた。

「もともと結婚なんかするつもりはなかったんですけどね。死ぬまで独りでもいいかなって。でもまあ、縁あって彼女がウチに来てくれましてね。こんな年になっちゃいましたが、初めて自分の家庭が持てて、ここ何年かは自分にとってとても大切な時間でした。これでもう思いのこすことは・・・」

 そう言いかけてから、Sさんはハッとわれに返り、

「いやぁ、ごめんなさい。遺言書作るって決めたら、もう死ぬ気まんまんになっちゃって」

 私とSさんは顔を見合わせて笑った。


※この作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一部を除いて関係ありません。

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「仮にみなさんがその相続分を奥様に譲渡することを承諾したとしても、全員から印鑑証明書をいただいて、遺産分割協議書に実印をもらわなければなりません。ところで、ご兄弟はみなさんご存命ですか?」 「いえ、長兄とすぐ下の妹はすでに亡くなっています」 「その方にお子さんは?」 「ええ、それぞれ二人か三人いたと思います」 「交流はありますか?」 「いいえ、特に妹の子どもは二人とも九州で所帯を持っているみたいで

ところで、遺言書には、相続に関する自分の意思をはっきり示し、親族間の争いを防ぐという機能の他に、相続手続を簡単にするという機能がある。 まだ開業間もない頃、事務所の近くに住むSさんから電話があった。遺言書の作成について相談したいという。聞いてみると、60歳を過ぎて初めて結婚し、夫婦の間に子供はいないという。妻は45歳で、結婚して5年になるそうだ。 Sさんによると、心臓に持病があり、最近体調がよくな

自筆証書の場合、専門家のチェックを受けることなく作成できてしまうので、内容が不明確だったり、実現できない内容が含まれていたり、あるいわ形式が民法の要件を充たしていなかったりして、往々にして争いのもとになる。つまり、その遺言の内容に満足しない相続人から、「そんな遺言は無効だ」とつけ込まれるスキが多分にあるということだ。法廷の場で筆跡鑑定が求められるのは、「お父さんが私をないがしろにして、こんな遺言書