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  • iwata-hiroki

不連続終活小説 Nさんのエンディング⑨

自筆証書の場合、専門家のチェックを受けることなく作成できてしまうので、内容が不明確だったり、実現できない内容が含まれていたり、あるいわ形式が民法の要件を充たしていなかったりして、往々にして争いのもとになる。つまり、その遺言の内容に満足しない相続人から、「そんな遺言は無効だ」とつけ込まれるスキが多分にあるということだ。法廷の場で筆跡鑑定が求められるのは、「お父さんが私をないがしろにして、こんな遺言書くはずがない」、「だれかに無理やり書かされたに違いない」、「何とかなかったことにできないかなぁ」、「民法には全文自筆で書かないといけないと書いてある」、「お父さんの字って、こんなだったかなぁ」「よし、無効を主張しよう!」というような思考回路によるものだ。公正証書によれば、こうした争いはかなりの部分回避できる。よく、「ウチは家族みんな仲よしだから大丈夫」というようなことを耳にするが、そんなことはいざ相続が始まってみないと分からない。相続争いのリスクは、なるべく避けておきたいところだ。


※この作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一部を除いて関係ありません。

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不連続終活小説 Nさんのエンディング⑱

このようなケースでは、以下のような書類が必要となる。 ①通帳裏表紙のコピー ②マンションの登記事項証明書 ③マンションの固定資産税納税通知書 ④Nさんと弟さんの親族関係を示す戸籍謄本 ⑤Nさんの印鑑証明書 「このうち、通帳コピーと納税通知書は今写真を撮らせていただきますね」 私は、携帯を取り出して撮影した。あとはデータを事務所の複合機に飛ばしてプリントアウトすれば済む。 「登記事項証明書というのは

不連続終活小説 Nさんのエンディング⑰

ここで、私は考えを巡らせた。Nさんは、親の遺産でこのマンションを買ったという。だとすると、共同相続人であったと思われる弟は姉の財産状況をある程度把握し、もう80歳を超えた姉の遺産がすべて自分のもとに来ることを期待しているかもしれない。その弟が、遺産の大半が第三者に渡されるという遺言書を見てどうするだろうか。形式的な不備をあげつらって遺言の無効を主張することもありえるし、ことによると破棄したり隠した

不連続終活小説 Nさんのエンディング⑯

「他に、株とか投資信託とかはお持ちじゃないですか?」 「いいえ、他には何にもありません」 「そうですか。ありがとうございました」 と言って、私はシートをめくって備考欄を開いた。 このまま何もしないでNさんが亡くなったとすると、遺産はすべてNさんの弟が手に入れることになる。遺言書をつくりたいということは、そうはしたくないということを意味する。何か嫌な予感がした。 「ざっと、7500万円の財産をお持ち

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